迷惑行為と更新拒絶

借主のひとりが夜中に大騒ぎしたり、ゴミをまき散らすなど、他の借主からのクレームが何度となく来ています。このような迷惑行為について賃貸借契約書には明記はありませんが、更新拒絶もしくは迷惑料を請求は可能なのでしょうか?

借主のマナーが悪いということで契約の更新拒絶を検討される大家さんは少なくありません。ただ、このような場合には契約に違反しているか否かの問題になるので、更新拒絶というよりは契約の解除の問題となります。契約解除でしたら更新拒絶のように6か月前に通知を出す必要はなく、時期を問わず解除できます。ただし、更新拒絶であれ、契約解除であれ、賃貸借契約を終了させるのは容易ではありません。なぜなら、裁判所は、継続的な契約であることを前提とする賃貸借契約の性質に着目し、単に契約違反があるだけでは契約解除を認めず、その違反行為により貸主と借主との間の信頼関係が破壊(背信性)されたと評価された場合に限り、契約の解除を認めています。

受忍限度の可否がポイント

それでは、本件のような迷惑行為の場合、どのような状態になれば解除が認められるのでしょうか。まず、①借主の行為が契約に違反していることが必要です。この点について本件は契約書に明記がないとのことですが、契約書に明記がなくても、共同住宅の一室であれば他の入居者もいるわけですから、同じ建物内で生活する以上は他の入居者の生活の平穏を害してはいけないことは借主として当然守らなければならない事柄です。したがって、他の入居者の我慢の限度を超えるような騒音を出したり、ゴミのまき散らしのようなマナー違反行為は契約違反になります。ここでポイントとなるのが、我慢の限度(受忍限度を超えたか否か)を超えたか否かです(この点は後述いたします)。

次に、②先述の通り、解除するには信頼関係の破壊(背信性)が前提となってきますので、大家さんはその借主に対して何度も繰り返し是正を求めたにもかかわらず、一向に是正しようとしなかった事実が必要となります。以上から、本件のような場合、受忍限度を超えているのに加え、大家さんからの是正勧告に一切応じないといった事実が必要となります。なお、迷惑料の請求については、大家さんに具体的に損害が発生した場合に限り、請求できるとされています(実務上、迷惑料の請求は難しいようです)。