安心?「30年一括借り上げ」システムの落とし穴

不動産オーナーがサブリース契約を巡ってトラブルに巻き込まれる事例が後を絶ちません。 サブリース契約とは、不動産会社がオーナーから賃貸物件を一括で借り上げ、入居者に転貸する仕組みのことです。これによってオーナーは物件に入居者が住んでいない時期であっても、一定の家賃収入が保証されます。「こんなよい話はない!」とばかりに飛びついてしまう大家さんは決して少なくありません。いえいえ、ちょっと待ってください。そんなうまい話がこの世の中にあるでしょうか?ちょっと立ち止まって考えてみてください。サブリース会社が自社に不利な契約をあえて結ぶことなんて常識で考えてもあり得ませんよね。事例についてお話をする前に、サブリースの仕組みについておさらいをしましょう。

サブリース契約のしくみ

日本住宅性能検査協会によれば、この5年の間にサブリース契約に関する相談が500件以上寄せられているそうです。その多くが、保証家賃の減額に関わるトラブルです。今年の2月には100人以上のオーナーが家賃保証をめぐり、不動産会社に対して集団訴訟を起こすというニュースまで飛び込んできました。 オーナーが不動産会社と結んだ賃貸借契約書には『保証家賃は当初10年は不変』と明記されていたにもかかわらず、わずか数年後に保証家賃を減額されてしまったのです。 この話だけを聞けば、 「契約違反をするような会社が悪いだろう!」 そう考える方が多いのではないでしょうか。 しかし、話はそう簡単ではありません。 オーナーが不動産会社と結んだ賃貸借契約には、借地借家法という法律が適用されます。 この法律は、貸す側が強い立場にあるということを前提に、借主を保護するために定められています。 借主には将来の家賃の増減額を主張する権利、「賃料増減額請求権」があります。 サブリース契約の場合、オーナーにとって直接の入居者は一括借り上げをする不動産会社です。 サブリース契約を結んだ不動産会社にも借地借家法に基づく賃料減額請求を認める判決が、2003年に最高裁で出ています。つまり、契約書に『保証家賃は当初10年は不変』といった記載があったとしても、借主に不利だと判断されれば、この文言は無効とされる可能性があるのです。

解約に30万円!?解約トラブル

また、サブリース契約のトラブルは家賃の減額だけではありません。サブリース契約には、解約の際にも大きなトラブルとなる可能性があります。 先日、このような相談をいただきました。きっかけとなったのは、ここまでにお伝えしたサブリース契約の保証家賃の減額です。 不動産会社からオーナーのAさんに対して、保証家賃を5万3千円から4万3千円に減額したいという、申し入れがありました。 物件は築33年と築年数は経っていますが、駅近の好立地のマンションです。あまりにも一方的過ぎる不動産会社の対応に我慢も限界に達しました。 ところが、不動産会社に解約を申し出ると解約違約金として家賃6ヵ月分、約30万円を請求されたのです。

Aさんの事例

『6ヵ月分の家賃を違約金として支払わなければならない』

サブリースの契約書にもしっかりと明記されていました。このような高額な違約金や厳しい解約条件が、サブリースの契約書に盛り込まれていることは、決して珍しいことではありません。こちら側からの解約には高いハードルを設けながら、オーナーが保証家賃の見直しに応じなければ、いつもで契約を解除できるなど、不動産会社には都合のよい条件が書かれているケースがあるのです。 オーナーから解約を申し入れても、契約内容を盾に認めず、築年数が経ちサブリースで利益を上げられなくなったら、一方的に不動産会社から契約解除を要求されるという悪質なケースもあります。 そのほかにも、解約後に入居状況を確認してみると、アパートは空室だらけだったり、入居者の誰にも連帯保証人が付いていなかったこともあります。 サブリース契約を結んだからとって、空室リスクがなくなったわけではありません。 そのリスクは契約相手である不動産会社が担っているのです。やがて、不動産会社が空室リスクを負担しきれなくなったときに、一方的な契約解除という形でリスクがオーナーに跳ね返ってくることもあるのです。 解約でトラブルにならないよう、契約書の条項は細かく確認しておきましょう。サブリース契約には保証家賃の減額だけではなく、解約におけるトラブルなど様々なリスクがあります。 常に認識しておきたいのは、不動産投資を行うにあたってオーナーは、様々な法律で保護される「消費者」ではなく、あくまでも不動産貸家業の事業主としてみなされるということです。 サブリース契約に関しては、不動産会社に任せきりにするのではなくオーナー様自身でもしっかりと契約内容をご確認いただくことが大切です。 もしサブリースに関してお困りのことがございましたら、早めに手を打つことが必要です。